「ちょっと日本まで――」10ヵ月の休暇をもらったドイツの若いカップルが、オフロード・バイクにまたがった。インドまでやってきて、なんでそんなに急ぐのかと疑問が湧いた。急ぐのはやめた。行く先なんてどこでもいい。その土地を、人を、今ここを楽しもう――肩の力が抜けた。気がついたら世界中を回ることになった。16年かかった。そうさ、夢は追っかけてみるもんだ!
☆エンジンがかかる。2台とも。シリンダーは規則正しく、ドッドッドッと安定したリズムを刻んでいる。とうとうこの日がやって来た。僕たちはアウトバーンに入り、120キロに加速する。さぁ、出発だ! ケルン北地区の高層ビルがうしろにぶっ飛んでいく。右側から追いついてきた車の運転手が窓を開けて叫ぶ。「お~い、どこまで行くんだ?」「日本!」僕はどなり返す。一瞬、男は笑い、もう一度僕を見て首を横に振る。なんとでも思うがいい。やっと目的地を口にした。そうさ、僕らは本当に日本をめざしているんだ(本文より)。
●10ヶ月の特別休暇をもらった23歳と20歳の若いカップルが、オフロードバイクにまたがってケルン(ドイツ)から日本に向かった。長駆、インドまでたどり着いて、考えが変わった。急ぎ旅はやめだ。その土地、そこの人間、「いま、ここ」を楽しもうと。10ヶ月なんてどうでもいい、1年かかっても3年かかってもかまうもんか。インドの何かがそうさせたのだ。結局、彼らは16年かけて、世界を一周することになる●トルコでは追い剥ぎに襲われ、中国では警察相手に追いかけっこ、日本でクラウスは合気道に汗を流し、クラウディアは銀座のホステスに。ユーコン川を筏で下り、アマゾンではバイクの駆動力でボートを造り、アフリカの大地を夢中で走った●むろん危険がいっぱい。三度も事故に会い、監獄にぶち込まれたり、グリズリーやライオンとの遭遇も。ユーコン川の難所越えには命が縮まった●なぜそんなことをするかって? 楽しかったのさ! 誰かに命令されてやっているわけじゃない。時間だってエネルギーだって、自分たちの好きなように使うことができる! 土地の景観、奇観もすばらしかったが、やっぱり人間だった。人間はすばらしい。最大の贅沢は、大自然のなかで生きること、地球の最も美しい場所にテントを張ることだった。そうして僕らは自分の心に自由を増やしていったんだ●そうなんだ、夢は追っかけてみるもんだ。夢は夢じゃなくなるのだから
●バイクを思うさまぶっ飛ばしたい人、冒険野郎、そしてなによりこの人生にウンザリしている向きは、ぜひご一読を。
●あらすじ
●立ち読みコーナー・中国(抜粋)
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風雲斎のひとりごと: 『さあ、出発だ!』という本
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